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崖に隣接する敷地

崖に隣接する敷地

建築基準法19条(敷地の衛生及び安全)では、4項に

建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

と規定しています。これは、崖崩れや土砂の流出で建築物が被害を受ける可能性がある場所に建築する場合、あらかじめ擁壁などを設置することで敷地の安全を確保し、人命の保護を図らないといけないとしたものです。
しかし、建築基準法には崖地の対策についての技術的な基準の規定がなく、建築基準法40条を根拠に地方公共団体が擁壁の設置基準等について規定しています。

 

例えば、福岡市では福岡市建築基準法施行条例により規定しています。

福岡市建築基準法施行条例5条(がけに近接する建築物の制限)

がけ地表面が水平面に対し30度を超える傾斜度をなす土地をいう。以下同じ。)の高さがけの上端と下端との垂直距離をいう。以下同じ。)3メートルを超える場合においては、当該がけの上にあっては当該がけの下端から下にあっては当該がけの上端から水平距離が当該がけの高さの2倍に相当する距離以内の位置及び当該がけには、居室を有する建築物を建築してはならないただし、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当する場合においては、この限りでない

(1) 擁壁の設置により、がけの崩壊(建築物の安全性を損なうおそれがあるものに限る。次号において同じ。)が発生しないと認められること。
(2) 地盤が強固であり、がけの崩壊が発生しないと認められること。
(3) がけの上に建築物を建築する場合にあっては、がけの崩壊により当該建築物が自重によって損壊、転倒、滑動又は沈下しない構造であると認められること。
(4) がけの下に建築物を建築する場合にあっては、次のいずれかにより、がけの崩壊に伴う当該建築物の敷地への土砂の流入に対して当該建築物の居室の部分の安全性が確保されていると認められること。
 土留施設を設置すること。
 建築物のがけに面する壁を開口部のない壁とし、かつ、当該建築物の居室の部分を当該建築物への土砂の衝突により破壊されるおそれがないと認められる構造とすること。
(5) がけに建築物を建築する場合にあっては、前2号に該当すること。

2 がけの上方に当該がけに接して、地表面が水平面に対し30度以下の傾斜度をなす土地がある場合にあっては、当該がけの下端を含み、かつ、水平面に対し30度の角度をなす面の上方にある部分に限り、当該がけの一部とみなして前項の規定を適用する。

3 小段等によって上下に分離されたがけがある場合において、下層のがけの下端を含み、かつ、水平面に対し30度の角度をなす面の上方に上層のがけの下端があるときには、その上下のがけは一体のものとみなして第1項の規定を適用する。

4 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第9条第1項の規定により福岡県知事が指定した土砂災害特別警戒区域内においては、前3項の規定は、適用しない。

 

要約すると、崖とは、傾斜度が30度を超える土地で、高さが3mを超えるものであり、このような土地に隣接する場合は、崖の高さの2倍の距離を離して建物を建てなさいということです。つまり、敷地が崖に隣接する場合は、最低でも6m崖から離さないと建物が建てられないということになります。それでは、広大な敷地以外建築が不可能になってしまうので、擁壁を設けたり、崖の崩壊に対して対抗できる措置をとれば崖に近接して建物を建てても良いですよと書いてあります。

 

崖の定義と崖に近接する建築物の制限については地方公共団体ごとに異なること、崖といえば自然の多い場所を想像しがちですが都心部でも隣地との高低差があれば崖に該当することに注意しなければなりません。

 


関係法令
建築基準法40条
地方公共団体は、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は特殊建築物の用途若しくは規模に因り、この章の規定又はこれに基く命令の規定のみによっては建築物の安全、防火又は衛生の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。

 

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