確認申請が不要だからといって、建築基準法に適合させなくても良いということはありません。
確認申請が必要かどうかと、建築基準法に適合させる必要があるかどうかは全く異なる話です。
確認申請が必要かどうかは、建築基準法第6条および6条の2に定められています。
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確認申請が「不要」な建築物
確認申請が不要な建築物 建物が小さければ確認申請は不要だと誤った理解をしている人がいますが、これは「防火地域、準防火地域以外で10㎡以内の増築等は確認申請を要しない。」というものを拡大解釈したことが原 ...
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都市計画区域外の4号建築物の新築、防火地域および準防火地域外における10㎡以内の増築など、確認申請が不要なケースでも、建築基準法は原則すべての建築物にかかってきます。
そのため、確認申請を提出する必要がないケースであったとしても、採光計算、シックハウスの換気計算、構造基準など建築基準法に適合させる必要があります。
確認申請が不要な建築物も建築基準法に違反していることが発覚した場合、特定行政庁から是正命令を受けることになります。
建築基準法第9条 違反建築物に対する措置
特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
(以下省略)
これは、新築のみならず、修繕、増築、用途変更などのときも同様です。
例えば、用途変更を検討されている方が、用途変更確認申請が不要だと知ると喜ばれるときがあります。しかし、確認申請を提出する作業が不要なだけであり、建築基準法に適合する工事を行わなければならないことに変わりはありません。
確認申請が不要であれば、申請費用や審査期間を省略することができるかもしれませんが、その代わりに確認済証を取得することができません。
用途変更確認申請が必要な状況となった場合は、法令を遵守し正式な手続きを行って確認済証を取得していることが、将来のことを考えると建築物所有者にはメリットが多いと思います。
ポイント
・確認申請が不要でも、建築基準法は原則全ての建築物にかかる。
単体規定は全ての地域に適用
建築基準法には、単体規定と集団規定があります。
これらは、建築基準法の中で明文化されているわけではなく通称です。
建築基準法の第2章が単体規定、第3章が集団規定と呼ばれています。
確認申請が不要となることがある都市計画区域外であれば集団規定はかかりません。
集団規定は、都市計画区域等内に建つ建築物の用途や形態を制限し、秩序ある市街地形成を行うための規定です。
しかし、単体規定は建築物を建てる場合必ずかかってきます。
単体規定は、建築物個々の安全や快適を図るための規定です。その内容は、敷地の衛生・安全の基準、建築物の構造基準、防火や避難に関する基準など、建築物を利用する人の安全保護の観点で規定されています。
したがって、単体規定は建築物を建てる場所に関わらず一様に適用されることになります。
単体規定 建築基準法 第2章 |
・敷地の衛生及び安全 |
日本全国 全ての地域で適用 |
集団規定 建築基準法 第3章 |
・敷地と道路の関係 ・用途制限 ・容積率、建ぺい率 ・斜線制限 ・日影制限 など |
都市計画区域内 準都市計画区域内 のみ適用 |
ポイント
・単体規定は、全ての地域に適用される。