道路の調査
建物を建てるとき、敷地が建築基準法に定める道路に接していないと建築をすることはできません。建築基準法では道路の定義がされており、敷地は原則2m以上道路に接していなければなりません。土地の売買、建築の計画をするときは、目的とする建物が建築可能なのかを判断するために、敷地に接している道路がどのような法的扱いを受けるのかを調べることが必要です。道路の調査では、道路の種別、制限等を明らかにするために現地調査、役所調査を行います。
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接道義務
接道長さは原則2m 都市計画区域および準都市計画区域内では、建築物を建てる敷地は原則として建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。避難上、消防活動上支障がないようにすることが目的のため ...
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建築基準法上の道路
建築基準法上の道路とは 建物を建てるとき、土地を売買するとき、道路を扱う重要な法令として建築基準法と道路法があります。 道路法は、公道の築造や管理等について定めています。公道の認定や幅員管理等は道路法 ...
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現地調査
現地では、道路および敷地周辺の状況を調査します。調査内容としては、主に以下のことを確認します。
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道路と敷地との境界の確認
まず、道路と敷地との境界を確定することが必要です。公道で道路管理者が設置した境界杭やプレート等があれば、その位置から境界を確認することができます。公道であっても境界杭やプレート等が無く、道路境界が不明な場合があります。そのときは、道路管理者に官民境界の査定を依頼することが必要になってきます。境界が不明確な場合や、道路区域が不明確で幅員の測定ができない場合などは、後日行政庁に相談する必要があるので、全景の写真、必要になると思われる部分の写真を撮っておきます。
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道路幅員の実測
建築基準法では、基本的に道路の幅員は4m以上必要です。幅員が4m未満の場合は、建築基準法上の道路とならないことがあります。また、道路幅員は、容積率、道路斜線制限などの形態制限に大きく影響するので、正確に測定することが求められます。
道路の幅員には、側溝や歩道は含むが法敷は含まない等のルールがあります。また、実際の現場では道路の幅員が一定でない場合や雁行している場合などがあります。そのため、道路幅員の実測の仕方については別の記事でまとめたいと思います。
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道路幅員の測り方
建築物の敷地は原則として建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。建築基準法上の道路であるためには基本的に4m以上の幅員であることが必要になります。さらに、建築物の用途や規模によっては避 ...
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幅員が4m未満だった場合
前面道路の幅員が4m未満だった場合、特定行政庁が2項道路の指定をしているかどうかの確認が必要になります。2項道路は、幅員4m未満でも建築基準法上の道路とする救済措置です。後日、行政庁に調べに行くことは必須ですが、現地調査の段階でできることはその道路の沿線を見ることです。敷地前面道路の路線区間のなかで、セットバック(道路後退)をして建物を建てている敷地があれば、その道路は2項道路として指定されている可能性が高いです。
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その他
道路の現地調査では幅員を測定することと敷地が最低限2m接道していることを確認することが大事な作業になりますが、その他道路に関することでは以下のようなことを確認しておくと良いです。
・敷地と前面道路の高低差
・下水道、側溝等の排水施設
・電柱の位置
・敷地、道路に接している河川、公園、がけなどの有無
関係公的機関での調査
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法務局
その土地を管轄する法務局において、土地の登記簿謄本(登記事項証明書)、公図を入手し、資料とします。現地調査やゼンリン地図等では分からない公有地(赤道等)や、埋め立てられた水路など(青道)を確認することができます。公図の精度は高くないので、境界の位置など現地の実態とは必ずしも一致しません。現地調査の前に法務局の資料を入手しておくと、現地との違いを確認しながら調査することができます。
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行政庁
行政庁では、公道の幅員、建築基準法の道路として判定した道路、都市計画道路などの資料を確認、閲覧することができます。
県道や市道等の公道は、道路法28条により道路管理者が道路台帳を保管しています。道路台帳には公道の幅員が載っています。私の経験上、コピー機で道路台帳を複写させてくれる(有料)ところが大半ですが、手書きで写すことしか許可していないところもありました。
道路幅員が4m未満のときは、建築基準法の道路として扱われるのかどうかの確認が必要になります。行政庁には、過去に判定した結果があり、閲覧することができます。しかし、すべての道路について判定結果があるわけではありません。建築基準法の道路として判定されていなければ、道路相談書を提出し、建築基準法上の道路種別の判定、建築の可否などを相談する事が必要になります。道路相談書を提出するときは、道路の現況写真、敷地の登記簿謄本、公図等を添付しなければなりません。
行政庁での調査の例として、公道の確認、建築基準法の道路の確認、都市計画道路の確認の3つを上げました。ここで注意してほしいのが、この3つは根拠となる法律が異なるということです。公道かどうかは道路法、建築基準法の道路かどうかは建築基準法、都市計画道路かどうかは都市計画法です。そのため、公道の確認は道路の管理をしている部署(道路管理課など)、建築基準法の道路の確認は建築の確認審査をしている部署(建築審査課など)、都市計画道路の確認は都市計画を扱っている部署(都市計画課など)に行かなければなりません。行政庁に訪れる前に行政庁のホームページで、自分がどの部署を訪ねたらよいかを確認しておくとスムーズです。道路管理をしている部署で建築基準法に関する相談をしようとしている人を見かけたりすることがありますが、そのような人に限って自分が困っている現状を一方的に話すばかりで職員の方を困らせているように思います。行政庁で相談するときは、まず自分が道路について何を知りたいか伝えられるように整理しておきましょう。