「この場所で民泊できますか?」と、聞かれることがあるので用途地域による建築規制について整理しておきます。
「民泊用の建物」を建築することができる用途地域
民泊は、旅館業法2条の「旅館・ホテル営業」もしくは「簡易宿所営業」のどちらかに該当します。
この旅館業にあたる施設は、建築基準法では用途の区分上「ホテルまたは旅館」に該当します。
建築基準法48条と別表2から、「ホテルまたは旅館」が建築可能な用途地域は以下のようになります。
〇:建築可能 ×:建築不可
用途・規模 | ホテル・旅館 3,000㎡以内 | ホテル・旅館 3,000㎡超え |
第一種低層住居専用地域 | × | × |
第二種低層住居専用地域 | × | × |
第一種中高層住居専用地域 | × | × |
第二種中高層住居専用地域 | × | × |
第一種住居地域 | 〇 | × |
第二種住居地域 | 〇 | 〇 |
準住居地域 | 〇 | 〇 |
田園住居地域 | × | × |
近隣商業地域 | 〇 | 〇 |
商業地域 | 〇 | 〇 |
準工業地域 | 〇 | 〇 |
工業地域 | × | × |
工業専用地域 | × | × |
観光名所が多い場所、駅が近い場所などに建築を考えるときは、商業系の用途地域であることがほとんどだと思うので問題となることは少ないと思います。
注意しなければならないのは、海や山などの自然を売りにしようと考えるとき、電車一本で行けて利便性は良いけれど住宅街であるときなどです。市街地から離れると用途地域による規制で建築不可である可能性があります。
旅館業法に関する条例での規制
用途地域による規制以外に、旅館業法に関する条例での規制もあります。
施設を開業しようとする場所が不適切であると判断される場合は、旅館業の営業許可を受けることができません。
営業許可を受けることができない例は以下のようなものです。
- 施設の設置場所が、公衆衛生上不適当であると認められるとき。
- 施設の設置場所が、学校(大学を除く)、児童福祉施設及び社会教育施設等の周囲おおむね100 mの区域内にあり、その設置によって当該施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められるとき。