床面積が30㎡以下の居室は、非常用照明の設置をしないようにすることができます。
以前は、ホテル等の多数の人が利用する建築物については、原則すべての居室とその避難経路に非常用照明の設置が義務付けられていました。
しかし、平成30年(2018年)に告示第1411号の改正があり、従来であれば共同住宅をホテル(民泊等)に用途変更しようとすると非常用照明の設置が必要でしたが、このような場合でも小規模な居室であれば非常用照明を設置しないとすることができるようになりました。
改正の概要
「規制の適用を受けない居室」として、次の居室を加える。
・床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口を有するもの
・床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が次の(1)又は(2)に該当するもの
(1) 非常用の照明装置が設けられたもの
(2) 採光上有効に直接外気に開放されたもの
告示第1411号第二号を順に読み解いていく
その1. 地上への出口を有する場合
告示第1411号第二号
二 床面積が30㎡以下の居室(ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は、1室とみなす。)で、地上への出口を有するもの又は当該居室から地上に通ずる建築物の部分が次のイ又は口に該当するもの
イ 令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けた部分
ロ 採光上有効に外気に開放された部分
床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口があるものは非常用照明の設置が不要です。
その2. 地上へ通じる部分に非常用照明が設置されている場合
告示第1411号第二号
二 床面積が30㎡以下の居室(ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は、1室とみなす。)で、地上への出口を有するもの又は当該居室から地上に通ずる建築物の部分が次のイ又は口に該当するもの
イ 令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けた部分
ロ 採光上有効に外気に開放された部分
居室から地上へ通じる部分(廊下、階段など)に非常用照明が設置されている場合、床面積が30㎡以下の居室に非常用照明は不要です。
その3. 地上へ通じる部分が外気に開放されている場合
告示第1411号第二号
二 床面積が30㎡以下の居室(ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は、1室とみなす。)で、地上への出口を有するもの又は当該居室から地上に通ずる建築物の部分が次のイ又は口に該当するもの
イ 令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けた部分
ロ 採光上有効に外気に開放された部分
居室から地上へ通じる部分(廊下、階段など)が採光上有効に直接外気にされている場合、床面積が30㎡以下の居室に非常用照明は不要です。
居室の床面積が30㎡以下とは
部屋の床面積が30㎡を超えていても、非常用照明の緩和を諦めることはありません。
下記のホテル(民泊)の部屋の床面積は38㎡ですが、告示第1411号で面積の対象としているのは「居室」です。
水廻り、収納等は「非居室」のため面積に算入する必要はありません。
そのため、この例の場合は居室部分の床面積が27㎡であり、非常用照明を設置する必要はありません。
ポイント
部屋の全体面積 - 非居室部分の面積 = 居室部分の面積 ≦ 30㎡
であれば、非常用照明の設置は不要
引き戸等で仕切られた2室の取り扱い
告示第1411号第二号
二 床面積が30㎡以下の居室(ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は、1室とみなす。)で、地上への出口を有するもの又は当該居室から地上に通ずる建築物の部分が次のイ又は口に該当するもの
イ 令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けた部分
ロ 採光上有効に外気に開放された部分
居室①+居室② ≦ 30㎡ の場合
居室①と居室②の面積の合計が30㎡以下の場合、非常用照明の設置は不要です。
居室①+居室② > 30㎡ の場合
居室①と居室②の面積の合計が30㎡超の場合は、非常用照明の設置が必要です。
居室①、居室②がそれぞれ30㎡以下の居室であったとしても、合計が30㎡超となるのであれば非常用照明をつけなければなりません。
注意ポイント
引き戸等の随時開放することができる建具で仕切られた2つ居室は、1つの大きな居室として面積の判断をしなければならない。
平成12年建設省告示第1411号
建築基準法施行令(昭和25年政令第338 号)第126条の4第四号の規定に基づき、非常用の照明装置を設けることを要しない避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものを次のように定める。
建築基準法施行令(以下「令」という。)第126条の4第四号に規定する避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものは、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有する居室及びこれに類する建築物の部分(以下「居室等」という。)で、次のイ又はロのいずれかに該当するもの
イ 避難階に存する居室等にあっては、当該居室等の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離が 30m以下であり、かつ、避難上支障がないもの
ロ 避難階の直下階又は直上階に存する居室等にあっては、当該居室等から避難階における屋外への出口又は令第123条第2項に規定する屋外に設ける避難階段に通ずる出入口に至る歩行距離が20m以下であり、かつ、避難上支障がないもの
二 床面積が30㎡以下の居室(ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた2室は、1室とみなす。)で、地上への出口を有するもの又は当該居室から地上に通ずる建築物の部分が次のイ又は口に該当するもの
イ 令第126条の5に規定する構造の非常用の照明装置を設けた部分
ロ 採光上有効に外気に開放された部分