定期報告

定期報告を依頼するとき必要になるもの

特定建築物の定期報告を依頼する時に用意して欲しいもの

特定建築物の定期報告調査の業務を受けている立場から、業務を依頼されたときに最低限用意して頂く必要があるものについて書きます。

建築物の所有者や管理者の方にこれを読んでいただきたいです。
受注する側の設計事務所や調査会社が報告書を作成するにあたって必要とするものが分かっていただければ、報告書の提出完了までの作業がスムーズに行えるようになるのではないかと思います。

「依頼されたものの、図面がもらえない。」
「建物調査は終わったものの、必要事項を教えてもらえず書類が作成できない。」
といったことで、報告書の提出までの作業が滞ることを防ぐ一助になればと思います。

定期報告の種類には、建築物、建築設備、防火設備、昇降機等がありますが、今回の記事では、「建築物」の定期報告を出すことを想定し、「最低限これが必要になります」ということを意識しながら書いています。

調査の依頼時に必要になる書類や図面について

通知書

まずは、特定行政庁から届く通知書を見せていただく必要があります。
地域によって異なりますが、通知書には主に以下のことが記載されています。

・整理番号
・建物名称
・建物所在地
・提出先
・提出期限

報告書作成時に整理番号を記載する必要があります。口頭で伝えるだけでもよいですが、通知書の写しを渡してあげる方が伝達ミスを防げてよいかと思います。
なお、整理番号は特定行政庁が管理に用いているものなので、地域によっては無いところもあります。

図面

建物調査、報告書作成のためには、調査対象建築物の図面が必要です。
確認申請図書、竣工図書をお借りできることが望ましいですが、最低限下記の図面があれば報告書の作成、提出ができます。

  • 面積表
    報告書の作成時に必要になります。
    敷地面積、建築面積、延床面積、各階床面積が載っている図面が必要です。
  • 平面図
    報告書に添付しなければなりません。
    建物配置図、各階平面図、屋根伏図が必要です。

注意ポイント

もし、図面が一切無く、面積が不明であったり、平面図が無かったりすると定期報告の提出ができません。
その場合は、既存建物の現況図作成業務を行っているところに、まず図面を作成するところから依頼してください。

前回の報告書

前回の報告書を保管されている場合は、それも渡してください。
建物を調査する時、書類を作成する時参考にすることができます。
前回の報告書があると、次に述べている書類に記載する事項についても確認することができるので、報告書作成がとてもスムーズに行えるようになります。

報告書の作成で必要になる事項について

報告書を作成するためには、所有者または管理者の方に教えて頂かないと分からない箇所があります。
その箇所について、定期調査報告書の第一面から第三面まで順に沿いながら説明します。

第一面

A 整理番号
特定行政庁から送付される通知書に記載されています。地域によっては、整理番号が無いところもあります。

B 報告者氏名
所有者と管理者が異なる場合、管理者が報告義務者です。所有者ではないことに注意してください。
特定行政庁からの定期報告に関する通知は、報告者(=管理者)宛に送付されます。

C 押印
報告者が法人の場合、法人印、社印を押さなければならないことに注意してください。
2021年1月、押印廃止になりました。

D 所有者
所有者が法人の場合は、法人の名称、代表者の役職、氏名を記入します。

E 管理者
管理者が法人の場合は、法人の名称、代表者の役職名、氏名を記入します。
管理組合、理事長の場合は、管理組合名、理事長名を記入します。
定期報告での管理者とは、管理会社を指すわけではないことに注意してください。
管理者とは、主体的に建築物の維持管理等をしている者のことです。
例えば、入居管理だけを管理会社に任せ、維持管理は所有者がしている場合は、所有者が管理者です。

F 報告対象建築物
建物名称に変更があった場合は、現在の建物名称を記入します。

第二面

G 面積関係
ここで面積を記入するために、面積表の図面が必要になります。
階別、用途別に床面積を記入しなければなりません。

H 性能検証法等
性能検証法が採用された設計が行われているかどうかは一般の人に判断は難しいと思うので、定期報告を依頼する設計事務所や調査会社に書類、図面を確認してもらうとよいです。

I 改修履歴など
前回調査時以降に行った増築、改築、修繕、用途変更等の記録を記入します。外壁の全面打診等の調査を行っている場合も記入します。これらの工事を行った記録、報告書がある場合は、設計事務所、調査会社に資料として渡してください。

J 確認済証や検査済証など
確認済証と検査済証の交付年月日、番号を記入します。確認済証と検査済証が無く、不明な場合は、竣工年だけでも教えて下さい。
確認申請図書、竣工図書、確認済証、検査済証はとても大切な書類なので、しっかりと整備しておきましょう。

第三面

K 前回の報告日
前回報告書の報告年月日を教えて下さい。

L 石綿について
吹付けアスベスト等が施工されている建築物で、分析調査や除去等工事を行ったことがあれば教えて下さい。

M 耐震改修について
耐震診断、耐震改修を行ったことがあれば教えて下さい。

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